社説:八峰ジオパーク 新体制で内容充実図れ

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 八峰町全域をエリアとする「八峰白神ジオパーク」の保全や利活用に当たる官民の組織、ジオパーク推進協議会が事務局の体制を強化した。町産業振興課内にジオパーク推進係を新設し、専従職員5人を配置した。

 2012年に日本ジオパーク委員会の認定を受けたが、16年の再認定審査では、見どころとして設定した「ジオサイト」の再編を求められたほか、案内看板が不足しているなどの不備を指摘され、再認定されたものの条件付きだった。その後、看板設置などの取り組みを経て今年1月に正式に再認定となり、今回のジオパーク推進係新設で、ようやく体制が整った。町の魅力を高める取り組みを一丸となって進めたい。

 「八峰白神」は、世界遺産である白神山地を造り上げた火山活動の痕跡が随所に見られるのが特徴だ。チゴキ崎の海岸段丘や椿漁港近くの柱状節理群など、いずれも希少である。地滑り地形の上に広がる留山のブナ林も壮観だ。国内で増加している外国人観光客も興味を引かれるだろう。課題は、どのようにしてそれらの価値を分かりやすく伝え、観光振興につなげていくかだ。

 県内には、ほかに「男鹿半島・大潟」「ゆざわ」、山形県にもまたがる「鳥海山・飛島」の三つのジオパークがあるが、自治体の担当課に専門班を置いたり、自治体から派遣された職員が推進協の事務局を担ったりと、いずれも行政が先頭に立っている。

 八峰町はこれまで、推進協が雇用する事務員ら3人体制だった。これを町職員5人体制に増員するとともに、地元の自然保護団体トップが務めていた推進協会長に森田新一郎町長が就任するなど、行政主導の姿勢を鮮明にした。町から推進協への補助金を減らす一方、町が直接ジオパーク事業に支出する分を増やす方針だ。

 今後進めるべきなのは、従来の41カ所から20カ所とほぼ半数に再編したジオサイト一つ一つの解説を充実させることだ。地質や地形に関する情報のほか、地域文化との関わりなども伝え、知的好奇心をより刺激できる内容にしたい。

 そのためには推進協のアドバイザーである秋田大などからさらに協力を得る必要がある。地域住民から聞き取りして埋もれている情報を集め、紹介することも魅力を高めるはずだ。

 ガイドを将来にわたってどう確保するかも大きな課題だ。現在、白神山地の遺産地域に接する同町には白神山地のガイドが68人おり、その一部はジオサイトの案内も始めているが、高齢化が進んでいる。若手の養成を進め、ジオパークの発信強化を図りたい。

 再認定されたからといって、安穏としてはいられない。再認定審査は原則4年ごとにある。町にはスピード感のある取り組みが求められる。

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