北斗星(5月28日付)

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 チョウセンキバナアツモリソウを見た。黄色に淡紅色がまだらに入った花弁を持ち、かれんな美しさがある。国内では男鹿半島だけに自生している

▼「環境省レッドリスト」の絶滅危惧1A類。ごく近い将来絶滅する可能性が高いとして環境省が北海道大で増やした株を、地元の「男鹿の自然を見つめ直す会」が真山神社そばの造成地に移して公開している

▼ヒマラヤなど標高4千メートル級の亜寒帯に生育するラン科の植物。日本には自生していないとされていた。それが男鹿半島にある標高約600メートルの山の斜面で生育が確認され、1997年に自生地と特定された。地元ではオガノアツモリソウと呼ばれていた

▼会の安田勲事務局長は、この花が男鹿に自生していることについて「3千年に一度とされる優曇華(うどんげ)が咲くのを見るのと同じぐらい奇跡的なこと」と希少性を強調。だが、その珍しさがあだとなり盗掘が相次ぐ。一時は50株を割り込むまで激減した

▼会と行政の20年来の保護活動によって、現在は70株を上回る。ただ、危機的状況は変わらない。盗掘は減ったものの、乾燥による樹林化が進み生育を脅かしている。会は生育地を以前と同じ草地に戻すための作業も始めた。増殖が軌道に乗れば、歩道沿いに移植するとの構想も温める

▼初夏の男鹿半島は、チョウセンキバナアツモリソウ以外にもオオサクラソウやコハマナスなど希少な花が次々と咲く。この小さな半島が秘めている自然の多様さは驚くほどである。

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