社説:女子制服の選択制 多様性認め合う一歩に

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 心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」に配慮する取り組みが全国の学校で進められている。女子生徒を対象にした制服選択制の導入はその一つだ。従来のようにスカートのみではなく、スカート、スラックスのいずれかを選べるようにする。県内では本荘高校が本年度から導入した。多様性を認め合う社会の構築に向けた一歩にしたい。

 本荘高が女子制服の選択制導入を検討したのは昨年11月。地元の教育関係者からトランスジェンダーに配慮できないか相談されたことがきっかけだった。校内の検討委員会が全校の女子生徒と教職員、合わせて約400人を対象に導入の是非を問うアンケートを実施したところ、「賛成」と「どちらでも良い」との回答が計8割以上に達し、今年2月に導入を決定した。

 県教育委員会によると、トランスジェンダーに配慮した制服選択制の導入は県内で初めて。全国では、決められた制服の着用を苦痛に感じているものの、そのことを口に出せないまま悩み苦しみ、不登校や引きこもりになるケースが少なくないという。そうした生徒が少しでも学校生活を送りやすいよう環境整備に努めることは重要であり、本荘高のような取り組みは画期的といえる。

 生まれながらの性別に違和感を持つトランスジェンダーの人は一定数おり、日本でも徐々に認知度が高まってきた。文部科学省が2013年に全国の小中学校や高校を対象に初めて実施した実態調査では、少なくとも606人が性別に違和感を持っているとの結果が出た。うち6割は、そのことを周囲に隠して学校生活を送っていた。

 実態を踏まえ、文科省は15年、こうした児童生徒に配慮するよう学校関係者に通知。相談を受けた際のサポートチームの設置や医療機関との連携、プライバシーへの配慮などを求めた。支援事例の一つとして、生徒が自覚する性別に合う制服の着用を認めることを挙げた。今回の本荘高の対応は、これに沿った措置だ。

 トランスジェンダーに悩む子どもたちにとって大切なのは、ありのままの自分を認め、受け入れることだ。周囲の理解が進まないままでは、それ自体が困難になる。理解不足から、いじめや差別につながることも懸念される。安心して学校に通ってもらうようにするには、悩みを相談しやすい環境整備が不可欠だ。

 そのためには、教員がトランスジェンダーなど性的少数者(LGBT)に関する知識を深め、周りの理解を促す役割を担う必要がある。県教委は、小中高の教員を対象に毎年夏に行っている「性に関する指導者研修会」の今年のテーマに初めてLGBTを据えた。こうした取り組みを増やすことが大切だ。学校現場の意識を高めていきたい。