北斗星(6月7日付)

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 白い壁を見ると黒いもやもやが見える。眼科医からは「いずれ手術が必要」と診断された。白内障の手術を受け、眼内レンズを入れて視力が回復した家族がいる。怖がってもいられない

▼目の手術と聞いてオーストラリアのSF作家グレッグ・イーガンの「万物理論」を思い出した。主人公は近未来のジャーナリスト。体内に埋め込んだ電子機器をまばたきで起動しながら目に映ったものを録画する

▼翻訳が刊行されたのは2004年。スマ-トフォンが世界で普及する前のことだ。その後、腕時計タイプの端末も登場。呼び掛けるだけで音楽が聴け、家電を操作できるAIスピーカーも珍しくなくなった

▼AI(人工知能)という言葉が毎日のように紙面に登場するようになったのはここ数年。本紙の初出がいつごろか調べてみると、30年前の朝刊に「AIの研修事業スタート」を伝える記事があった。県工業技術センター(現県産業技術センター)が公的機関として東北で初めて取り組んだ

▼佐竹敬久知事はAIを活用して生産効率を高める「第4次産業革命」を時代のキーワードに掲げる。人口減少の中で人手不足に対応するためには欠かせない。着実にAIの利用を進めていきたい

▼15年前には想像もつかなかった速さで技術革新は進んだ。15年後の世界はどうなっているのだろうか。小説のように記者がサイボーグ化するとは思わないが、まばたきだけで写真や動画を撮影できるカメラがあればなぁと夢想する。