北斗星(6月8日付)

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 大仙市では、民謡の「秋田おばこ節全国大会」が毎年6月に開催されている。以前は8月に行われていたが、農家が会場に足を運びやすいようにと、田植えが一段落するこの時期に変更した

▼平成元年に始まった大会。31回目を迎えた今年は6月2日に開かれた。同市は県内最大の穀倉地帯。水をたたえた田んぼが一面に広がり、空の色、雲の動きを鮮やかに映し出していた。詰め掛けたファンは、歌を口ずさんだり、手拍子を取ったり。思い思いに楽しむ様子に、この地に民謡が根付いていることをあらためて感じた

▼大賞の部を制した冨岡久美子さん(37)は同市出身。インタビューで「あなたにとって民謡とは」と聞かれ、「日常生活の一部です」と即答していたのが印象的だった。祖母の影響で6歳から民謡を始めた冨岡さんにとって、おばこ節は幼い頃から親しんだ古里の歌だった

▼県内には「全国大会」の冠が付く民謡が全国最多の13もある。だからこそ「民謡王国秋田」と称され、これまで多くの歌い手を輩出してきた。中でも特に難しいとされるのが、このおばこ節だ

▼独特な節回しやリズムの取り方など、ポイントはいくつかある。ベテラン審査員は「一番気になるのは第一声」と話す。歌い出しで力量が分かるそうだ

▼気掛かりなのは例年130~140人の出場者が今年は100人ちょっとと少なかったこと。中でも中学生以下が対象の年少の部が9人にとどまった。王国を継ぐ若い才能を育みたい。