北斗星(6月19日付)

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 縄文時代、北海道日高地方の人々は黒いしま模様のある青白い石を集め、北東北との交易の品にしたようだ。独特の見た目から、後に付けられた呼び名は「アオトラ石」。磨くと光沢を帯びるため儀礼用の磨製石斧(せきふ)の材料に用いられた

▼国内最大級の縄文集落跡として知られる三内丸山遺跡(青森市)では、この石で作られた石斧が大量に出土した。東成瀬村の上掵(うわはば)遺跡で見つかった国重要文化財の石斧4点も全てアオトラ石だったことが、近年の研究で判明している

▼ただ、この石が採れるのは日高地方だけ。どうやって本州まで運んだかが謎である。他の石材に比べてずっしりと重く、運ぶのは容易ではない。そんな石材を船に積み込み、いつ荒れるとも知れぬ津軽海峡に繰り出すのは、まさに命懸けだったに違いない

▼石材の分布を見ると、北海道と北東北は相当古い時代から密接につながっていたことがよく分かる。その関係性に思いをはせるだけで歴史ロマンをかき立てられる

▼本県など4道県にまたがる縄文遺跡群は2021年の世界遺産登録を目指している。構成するのは三内丸山遺跡や大湯環状列石(鹿角市)、伊勢堂岱遺跡(北秋田市)など計17遺跡。来月にも推薦候補に選ばれる見通しとなっている

▼来訪者にできるだけ多くの遺跡を巡ってもらうことで、その価値は内外に広く知れ渡る。縄文時代から続く互いの結び付きを一層強めてこそ、点在する遺跡は文字通り「群」へと昇華していくはずだ。