北斗星(6月20日付)

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 「自分たちが生きているのは次世代のため。次世代は、その次の世代のため」。大館市の市民団体「オンブズマンの会」の代表だった小池栄一さんが、よく口にしていた言葉だ

▼喫茶店のマスターを務める傍ら、有志と共に市政のチェックに力を注ぎ、1998年に67歳で他界した。不公平、不公正なことが行われていないか常に目を光らせていた。活動の根底には、将来を担う世代のために大人がより良い社会をつくっていかなければという強い思いがあった

▼金融審議会がまとめた報告書を巡る政府の対応は、それとは真逆のドタバタ劇だった。老後は年金で賄えず、2千万円不足するとの内容が波紋を呼ぶと、担当大臣の麻生太郎副総理は受け取りを拒否。報告書自体なかったことにしようとした。多くの国民、特に若者たちが年金制度の将来に不安を覚えただろう

▼少子高齢化の進展に伴い、年金を受け取る高齢者が増える一方、支える側が減っていく。その中でいかに制度を維持するのか。報告書は議論のきっかけになるはずだった。都合が悪いから封印するのでは理解を得られない

▼きのうの党首討論。トップ同士が厳しい現実に向き合い、骨太の議論を展開する姿が期待された。だが安倍晋三首相に批判を正面から受け止める姿勢は見られず、議論は最後までかみ合わなかった

▼将来の暮らしを左右する年金問題を、参院選後に先送りするのは無責任である。「100年安心」の看板が大きく揺らいでいる。

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