社説:地震の情報提供 発信の在り方再点検を

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 山形県沖を震源とし、新潟県で最大震度6強を観測した18日夜の地震で、県内の被害は20日現在、負傷者2人、建物被害18件に増えた。各自治体は引き続き、被害の確認と余震の警戒に努めてほしい。

 この地震を巡っては、県内最大となる震度5弱を観測した由利本荘市で、防災行政無線や登録制メールを通じた住民への情報発信がなかったことが問題になった。同市には、全国瞬時警報システム(Jアラート)から「震度5弱以上」の緊急地震速報を受信すると、その情報を無線やメールを通じ、自動的に住民に発信するシステムがあるが、起動しなかった。

 市は情報発信する基準を「震度5弱以上」と設定している。だが今回、速報の予測は「震度4程度以上」にとどまっていた。これが起動しなかった要因だ。実際の揺れは震度5弱と情報発信の基準に達したものの、すでに地震は発生済みだから必要性がないとして、市はあえて情報提供しなかった。

 これについて、市民からは「たとえ事後的であっても、震度が基準の5弱だったのなら無線などで知らせてほしかった」「正確な震度を知ることが、注意喚起につながる」などの声が上がった。

 テレビやラジオの緊急放送、民間の携帯電話会社からの緊急速報メールで地震が起きることを知り、警戒した市民は多いだろう。だが誰もがテレビやラジオを常時視聴しているとは限らない。普及が進んだとはいえ、携帯電話やスマートフォンを持たない市民が少なからずいることも、十分考慮すべきではないか。

 隣のにかほ市は由利本荘市より弱い震度4だったが、Jアラートの緊急地震速報が登録制メールで自動配信された。発信の基準を「震度4以上」と設定しているためだ。由利本荘市と違い、その情報が自動的に防災行政無線に伝わる仕組みにはなっていないが、これについても発生後に職員が手動で作動させ、住民に注意喚起した。

 住民に情報を伝える基準を震度5弱に置くか、震度4に置くかの違いはあるが、住民の安全・安心のためには、よりきめ細かで丁寧な伝達方法が望ましい。由利本荘市は今回の対応について十分検証し、これからに備えるべきだ。

 自治体が防災に当たり最も重視しなければならないのは、1人暮らしの高齢者や障害者ら「災害弱者」への対応であることは言うまでもない。地域で支える仕組みを再確認するとともに、そうした人たちに情報をどう伝えるかを、いま一度考えておく必要がある。

 この時期、警戒しなければならないのは地震だけではない。夏は集中豪雨で川の氾濫や土砂崩れなどが起きやすくなる。自然災害の状況把握や迅速な避難につなげるため、住民への情報伝達の徹底を求めたい。