遠い風近い風[十田撓子]家のはじまり

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 田舎の空き家には、ずっと困っていた。空き家といっても、中は空っぽではない。往時には4世代の者が暮らした家である。モノを簡単に捨てない年寄りがためこんだ家具・布団・着物・端切れ・大量の瀬戸物やお膳、あらゆるガラクタがほこりをかぶっていた。

 田畑も家族の歴史もさしたる重みを失った今、家の重さとは、残された粗大ごみの重量ではないか。笑えない現実である。片づけなければ、誰かに貸すことも使うこともできない。

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