社説:県議会とイージス 賛否をはっきりと示せ

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 開会中の6月県議会は27日が最終日。最終盤を迎えた今議会の最大の焦点は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)に設置する防衛省の計画に対し、議会としてどう判断を示すかだ。地上イージス配備に大きな不安を抱く住民の目線で議論を深め、賛否を明らかにするべきだ。

 防衛省は先月下旬、新屋演習場に関する調査結果を県と秋田市に報告し、新屋以外に適地はないと説明した。今月上旬、新屋以外の国有地の適否を検討した報告書の説明に、事実と異なるデータが使われていたことが発覚。謝罪の場となった住民説明会では、職員の1人が居眠りする失態もあった。

 ずさんなデータを示しながら新屋を「適地」とする同省の姿勢はあまりに不誠実で、住民の不信を招いている。信頼は地に落ちたと言っていい。

 こうした状況にあって、今議会には議員から二つの意見書案が提出された。最大会派自民党の案と、つなぐ会、社民党、共産党の3会派による案だ。

 自民案は、同省に対し「極めて遺憾。住民の声を真摯(しんし)に受け止めて調査内容を再度精査し、丁寧な説明と誠意ある対応を求める」と要望。3会派案は「住民との信頼関係は崩壊した。計画自体の誤りを認め、白紙撤回すべきだ」と指摘している。同省への厳しい姿勢は共通しているともいえるが、新屋配備の是非に踏み込んでいるかどうかでスタンスが異なる。

 同省は他の国有地について再調査するとしているものの、新屋が適地とする見方は変えていない。岩屋毅防衛相は17日、佐竹敬久知事らとの面会後に「さまざまな要素を検討し、新屋が適地と判断した。この段階でそれを変えるような材料があるわけではない」と明言している。再調査をしても結論は変わらないと見るべきだろう。

 同省に誠意ある対応を求めることは当然必要だが、議会が向き合うべき最大の課題は、新屋が本当に適地かどうかの判断を示すことだ。どんなに安全対策を徹底しても、演習場が1万3千人の暮らす住宅密集地に隣接している事実は変わらない。イージスが配備されれば、住民は他国の攻撃やテロなどの不安がつきまとう生活を、恒常的に強いられる。住民の平穏な生活が脅かされてもいいのか、県民の代表として議員一人一人に真剣に考えてもらいたい。

 今議会には市民団体などから、新屋配備への反対を求める請願5件も提出されている。意見書案と共に27日の本会議で採決される見通しだ。

 配備の是非は本県の将来を左右する問題である。熟慮は必要だが、議会は昨年12月と今年3月、同趣旨の請願をいずれも継続審査とした。判断の先送りはもうすべきではない。住民の思いをないがしろにする議会であってはならない。

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