タトゥーへの対応、施設で分かれる 外国人増え柔軟に

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入れ墨がある客の「入浴お断り」を周知する掲示=秋田市の温泉施設
入れ墨がある客の「入浴お断り」を周知する掲示=秋田市の温泉施設

 温泉といえば、タトゥー(入れ墨)のある客は「お断り」。そんな慣習への対応が秋田県内の施設で分かれている。多様な文化を背景に持つ外国人客の増加を受け、柔軟に判断する施設が出てきたためだ。

 「『入れ墨』をされている方の入浴は固く、お断りしています」

 秋田市のある温泉施設では、入り口前にこう記した看板を掲示している。反社会的勢力の入館拒否や、タトゥーを嫌がる利用者への配慮が目的だ。受け付けでチェックしきれず、タトゥーのある客が入浴していた場合には口頭で注意しているという。

 ただ、言葉の壁で施設の方針を正しく伝えられないとして、タトゥーのある外国人客の入浴は拒んでいない。職員の男性は「本来なら日本人客と同じように、外国人客もお断りすべきところだけれども」と対応の難しさをにじませる。

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県内の外国人選手「タトゥーは文化」

秋田ノーザンブレッツのジョシュア・ケレビ選手。左腕には花や鳥のタトゥーが入っている

 日本では反社会的なイメージで見られがちなタトゥー(入れ墨)は、外国人にとって母国文化の一つでもある。識者からは多様性への理解を呼び掛ける指摘があり、県外の温泉地では、観光振興に向けてタトゥーのある外国人を積極的に受け入れる動きもみられる。

 社会人ラグビー秋田ノーザンブレッツのジョシュア・ケレビ選手(27)の左腕には、16歳の時に入れた花や鳥模様のタトゥーがある。母国フィジーでは、多くの国民が地元を代表する動物や植物、キリスト教の言葉などのタトゥーを体に施すという。

 自身にとって「タトゥーはアイデンティティー」。だが、日本国内で温泉やプールに入る際は、腕にテーピングして隠している。「日本はそういう文化だから」と日本の慣習に配慮している。

 韓国出身のイ・インジェ選手(27)も右脚にタトゥーがある。脚を露出して街を歩いていると怖がられているような視線を感じるといい「怖がらせるためではないんだけれど」と苦笑い。外国人観光客が増える中、理解が深まってほしいと考える。

 国際教養大の大森久子助教(文化人類学)は「日本の歴史の中では反社会的な象徴でも、海外では違った象徴として使われている場合がある。海外からの来訪者が増えており、今後は異文化や多様性を受け入れる柔軟な発想が必要だ」と指摘する。

 潟上市天王の彫師佐藤健太郎さん(38)は「日本で暴力的なイメージがあるうちは、入浴などを断られることもあるだろう」と施設側の対応に理解を示す。「来店する若者には、肌が見える場面では配慮しなければならないと伝えている」と話した。

別府は受け入れ積極的

 日本有数の温泉地・大分県別府市は、タトゥーがあっても入浴可能な市内100施設を示す地図を作成し、インターネットで公開している。同県は2019年ラグビーワールドカップ開催地の一つ。多くの外国人客の訪問が見込まれることから、18年9月に公開した。

 市の委託で地図を作成した一般社団法人B-bizLINK(ビービズリンク)の河村達也さん(34)は「外国人旅行客からは、別府はタトゥーに理解がある街、と喜ばれている」と手応えを語る。サイトは海外メディアにも取り上げられており、市温泉課は「タトゥーのある外国人にも気兼ねなく入浴してもらいたい」と期待する。

 観光庁は16年3月、日本温泉協会など宿泊施設関係の4団体に「入れ墨をしていることのみをもって、入浴を拒否することは適切ではない」とする文書を通知。「タトゥーのある外国人客の対応方法の検討を促す必要がある」としている。

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