社説:美郷町の新三セク 一体で観光振興進めよ

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 美郷町は観光拠点や温泉・宿泊施設などを運営してきた町の第三セクター3社と町観光協会を統合し、新たな三セク「あきた美郷づくり」(社長・松田知己町長)を本年度からスタートさせた。町内各施設の指定管理者として観光振興に力を注ぐ。

 町は「平成の大合併」の県内第1号として2004年に誕生したが、人口減は年々進んでおり、現在約2万人。いかに観光振興を図り、交流人口増加につなげるかが課題となっている。町内主要観光施設(6カ所)の入り込み客数はここ数年、60万人前後で推移。町はこれを25年に80万人にまで伸ばす目標を今年3月策定の町観光振興計画に掲げた。新三セクには、その推進役としての大きな期待がかかる。

 6カ所のうち観光拠点の「名水市場湧太郎」「道の駅雁(かり)の里せんなん」「ニテコ名水庵」「手づくり工房湧子ちゃん」の4カ所を新三セクが運営する。残り2カ所は六郷に点在する「湧水群」と町が直営する「ラベンダー園」。多くの観光客を集める施設もあるが、全体的にはそれほど知名度が高くない。一つ一つの魅力をいま一度磨き上げ、町外に広く発信する必要がある。

 訪日外国人客を含め、旅行形態が買い物中心から体験型へとシフトする中、これらの観光資源をうまく結び付ければ、もっと観光客を呼び込めるのではないか。泉質の異なる温泉・宿泊施設があることも、滞在型観光振興に役立つだろう。さまざまな可能性を探ってもらいたい。

 三セクを一つにまとめた背景には、観光振興が六郷、千畑、仙南の旧3町村ごとの取り組みにとどまり効率性を欠いていたことが挙げられる。統合以前の「六郷まちづくり」「雁の里せんなん」「美郷温泉振興」の旧三セク3社では、情報発信や食材の仕入れなどが個別に行われていた。各社は限られた人員で、それぞれの施設を運営することにきゅうきゅうとしていたという。枠を取り払った今こそ力を結集し、観光振興を一体的に推進しなければならない。

 新三セクの体制で注目されるのは、旅客サービスに携わってきた日本航空の社員を役員に迎えたことだ。町の人事交流の一環で、三セクでは取締役総務企画部長を務める。この役員のアイデアを基に豊富な地下水と町内産あきたこまちを使った地ビールを発売するなど、すでに新たな動きも出てきた。一層の商品開発に期待したい。

 新三セクは従業員の多くを旧三セクから引き継いでおり、現在、社員22人、パート52人が在籍する。一人一人が日本航空という民間のサービスに学び、ノウハウを吸収してほしい。

 人口約2万人とこぢんまりした町だからこそ、一体的なまちづくりを進められる利点があるはずだ。新三セクが中核となり、町を挙げて美郷の魅力向上を図ることが求められる。