社説:参院選きょう公示 問われる「1強」の是非

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 参院選はきょう4日に公示され、21日の投開票日に向けて論戦がスタートする。2012年12月から、およそ6年半にわたって続く安倍政権の是非を問う重要な機会となる。

 国会は衆参とも自民、公明両党が過半数を占め、政権基盤は安定している。内閣支持率も堅調だ。この「安倍1強政治」をさらに強力に前へ進めるのか、それとも野党に一定の力を与えて衆参に「ねじれ」を生じさせ、現在の政治状況を変えるのか。人口減、少子高齢化が進み、国のかじ取りは厳しさを増す中だけに、投じる一票はこれまでにも増して重い。

 安倍晋三首相は参院選の最大の争点について「安定した政治の下で新しい時代への改革を前に進めるか、再び混迷の時代に逆戻りするかだ」と述べ、ほぼ1年おきに首相が交代した旧民主党政権時代との違いを強調している。旧民主党の「決められない政治」に対し、自分たちは「決められる政治」を実現しているとの主張だ。

 だが問題は、その中身である。この6年半を改めて振り返れば、決められる政治とは言っても、数の力に物を言わせた強引な国会運営や、民意を顧みない不誠実な政治姿勢が目立つ。

 象徴的なのは、歴代政権が憲法9条の下で禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法や、監視社会につながりかねない「共謀罪」法を審議不十分のまま野党の反対を押し切り成立させたこと。外国人労働者受け入れを拡大する改正入管難民法も、生煮え状態のまま採決を強行した。

 先頃閉会した通常国会では、年金に関する「老後資金2千万円問題」のほか、北朝鮮やロシアに対する外交姿勢の変化など与野党で議論を交わすべきテーマが山積していたにもかかわらず、与党は予算委員会の開催を拒み続けた。参院選を前に野党の追及を受ける場面を避ける狙いがあったとみられるが、国会軽視も甚だしい。

 民意を顧みない姿勢は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設問題に顕著だ。移設反対を訴える知事が当選し、なおかつ移設の是非を問う県民投票で反対意思が70%に達したにもかかわらず、埋め立て工事を続行した。住民が何を言おうと、いったん決めたことは構わず推進する。これでは溝が深まるばかりだ。

 秋田市新屋が配備候補地となっている地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」にしても、なぜ住宅地近くに配備する計画を立てたのかは疑問だ。住民意思をないがしろにしてはならない。

 参院選は今回から3増となり、124議席を争う。自民、公明両党は過半数確保を目標に掲げている。野党は共闘して対抗する構えだ。求められるのは信頼できる責任ある政治である。将来を見据え、各党の主張をじっくり見極めたい。

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