社説:[2019参院選]消費税増税 財政も含め徹底議論を

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 消費税を8%から10%に引き上げる増税の是非が参院選の大きな争点となっている。なぜ増税しなければならないのか、なぜ反対なのか。各党は国民に分かりやすく訴える必要がある。

 自民党は大胆な金融緩和などを柱とする経済政策アベノミクスで景気が回復し、雇用が改善されたと実績を強調。過去に2度延期した10%への増税を、今年10月に実施すると公約に明記した。増税は国民の痛みを伴う。特に低所得者ほど負担感が大きい。だからこそ増税によって社会保障制度を安定させ、持続可能な社会を構築する道筋を、国民に責任を持って明示しなければならない。

 消費税は増え続ける社会保障費に対応する安定財源の確保を目的に1989年に導入された。3%からスタートし、5%、8%と上がったが、財源不足による先行き不透明な状況は依然続く。国民の間には、一体どこまで引き上げられるのかとの懸念が広がる。10%になったとしても足りず、再び上げなければならなくなるとの見方が根強いからだ。

 この点について安倍晋三首相は公示前の党首討論会で、10%に引き上げたら今後10年ぐらいは上げる必要がないと明言したが、本当だろうか。少子高齢化の進展で社会保障の支え手が減少することは明らかだ。根拠もなく安心を強調するのは無責任である。現状を率直に語り、具体的にどう取り組むつもりなのかを正面から訴えるべきだ。

 増税に踏み切る理由に挙げたアベノミクスの成果についても疑問がある。業績が向上したといっても大企業が中心で、中小・零細企業には恩恵が十分行き渡っていないのが現状だ。大都市圏に比べ、地方は特に実感に乏しい。安倍首相は「デフレではない状況を達成した」と自画自賛するが、家計に目を向ければ、実質賃金は低迷続き。これでは消費はなかなか上向かない。

 野党は軒並み、消費税増税に反対している。立憲民主党は増税凍結を主張。そもそもアベノミクスは失敗だったとして、企業よりも家計を重視する政策への転換を掲げる。法人税見直しや金融所得への課税強化、介護や保育分野の賃金引き上げなどを公約に示している。共産党は大企業や富裕層に応分の負担を求め、増税については中止を訴える。

 だが、それで安定した税収を確保できるのかが、はっきり見えてこない。将来にわたりどうやって社会保障を維持していくのか。それぞれの考えやビジョンを、もっと丁寧に国民に説明してほしい。

 国と地方の借金は主要先進国で最悪レベルの1100兆円余りとなっている。これ以上借金を膨らませてはならない。年々増大する予算の見直しや無駄の削減に力を入れる必要がある。財政再建の在り方も含め、各党の姿勢が問われる。

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