社説:[2019参院選]安倍外交 問われる6年半の成果

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 安倍政権は2012年12月の発足以来6年半に及んでいる。国際舞台での安倍晋三首相の存在感は増しているが、果たして外交上の成果は上がっているのか。参院選は安倍外交の在り方を問う重要な機会だ。

 安倍首相はトランプ米大統領と首脳会談を重ね、日米同盟の強固さをアピールしてきた。特に今年4月以降3カ月連続で会談するなど、「蜜月」ぶりを演出している。

 懸案の日米貿易交渉は安倍首相の働き掛けで参院選後に先送りされた。選挙戦で不利になるのを避けた印象は拭えない。

 米国は農産物の関税引き下げなどによる日本の市場開放を要求している。日本側は環太平洋連携協定(TPP)で決めた水準を限度として応じる方針だが、国内農家への影響は大きい。トランプ氏は何を言い出すか予測がつかない面がある。そのペースに巻き込まれないように、しっかりとスタンスを固めて交渉に臨まなければならない。

 貿易赤字削減を狙うトランプ氏は、日本をはじめ同盟国に武器の購入を迫っている。秋田市などに配備が計画されている地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の政府の導入方針は、その一環との見方がある。最新鋭ステルス戦闘機F35を105機購入することも決まっている。巨額な武器購入の動きに、野党からは「浪費的爆買い」などと批判が上がっている。米国主導とも見える防衛強化の是非について、各党は主張を戦わせてほしい。

 安倍首相が最重要課題の一つと位置づける北朝鮮の拉致問題の解決は進展が見られない。米国の圧力外交を通じて北朝鮮の譲歩を引き出すことを期待していた。しかし、トランプ氏は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と電撃的に3回目の首脳会談を行い、融和ムードを強調した。

 北朝鮮核問題に関する6カ国協議の参加国のうち米国、中国、韓国、ロシアの4カ国が金氏との首脳会談を実現、日本だけが「蚊帳の外」に置かれた形だ。安倍首相は従来の強硬姿勢を転換し、北朝鮮に無条件での首脳会談開催を呼び掛けているが、実現のめどは立っていない。

 ロシアとの平和条約締結交渉は膠着(こうちゃく)状態だ。安倍首相は従来、「固有の領土」としてきた北方四島のうち歯舞・色丹の2島の返還で平和条約を結ぶことで大筋合意を目指したが、ロシアは応じなかった。4島ではなく2島とした方針転換については国民に説明がないままだ。

 元徴用工問題のもつれから韓国との関係は悪化している。政府は韓国に対抗するかのように、半導体材料の韓国向け輸出規制を強化した。韓国側は世界貿易機関(WTO)への提訴も視野に入れており、対立は泥沼化の様相を呈している。

 手詰まり感が拭えない外交の現状をどう打開するのか。有権者は各党の訴えをじっくり見極めたい。

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