社説:周産期医療 出産の安全一層高めよ

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 少子化の進展に伴い、県内の産婦人科病院、診療所は減少が続く。高齢出産の増加などを背景に、母子の健康や生命にとってリスクの高い出産の割合が高まっており、周産期の医療体制の構築をさらに進めることが課題である。

 現在、県内の産婦人科病院、診療所は計22施設。2007年の30施設から8施設減少した。地域による偏りが目立ち、秋田市に7施設が集中する一方、男鹿市・南秋田郡、鹿角市など産婦人科がない地域もある。産婦人科の不足をいかにカバーするかが問われている。

 周産期とは、安定期に入った後の妊娠22週から生後1週未満までの期間。県は、産婦人科の施設が少ない地域でも安心して出産できる周産期医療体制づくりを進めている。07年に秋田赤十字病院(秋田市)を総合周産期母子医療センターに指定。その後、大館市立総合病院、秋田大医学部付属病院(秋田市)、平鹿総合病院(横手市)を地域周産期母子医療センターに指定した。

 地域センターは、一般の病院、診療所では対応が困難で高リスクな妊娠・出産、胎児の異常などに対応するため、緊急時の母子の搬送を受け入れている。さらに高度な医療が必要な場合には総合センターに搬送されるシステムだ。地域の産婦人科と連携し、今後ともしっかり機能させることが重要だ。

 周産期医療が重視される背景には、女性の晩婚・晩産化の進展や不妊治療の進歩に伴い、高齢出産が増加したことなどがある。高齢出産は母体への負担が大きく、さまざまな危険を伴う場合がある。16年の県の統計によると、35歳以上で妊娠・出産した女性は妊婦全体の26・0%で、10年前の06年より10ポイント以上増加した。

 周産期医療体制の整備により、10年には全国ワーストの6・5だった周産期死亡率は16年には4・6に低下し、改善傾向にある。しかし全国平均の3・6よりは高く、周産期医療を一層強化することが求められる。

 センターに緊急事態の母子を搬送する判断を下すのは、一般の病院、診療所の医師。しかし、これらの産婦人科の中には少子化の影響で出産数が少ない所もある。医師は扱う症例が少ないため技術を磨きにくく、学習の機会が少ないなどの悩みを抱えている。研修会の開催を重ね、医師の周産期に対する知識や理解を深めてほしい。

 産婦人科医の人数を維持することも課題だ。県内の産婦人科医の数は約70人と横ばい傾向だが、女性が増加し現在4割程度。病院内に保育施設を設けている所もあるが、まだ十分ではない。女性が働きやすい職場環境づくりを進めるべきだ。

 出産を望む女性や生まれてくる子どもの健康と生命を守ることは本県の大きな課題だ。県と医療機関は連携を強め、周産期医療を一層充実させてほしい。