社説:東京パラまで400日 大会機運盛り上げよう

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 東京五輪後に開催される障害者スポーツ(パラスポーツ)の祭典、東京パラリンピックは来年8月25日の開会式まで、残すところ400日余りとなった。史上最多の4400人が参加し、9月6日の閉会式まで21会場で22競技、540種目を行う。

 パラリンピックはさまざまな障害のある選手たちが自らの限界に挑む。近年の競技レベルの向上は著しく、プレーの激しさやスピードなど、迫力は健常者のスポーツに劣らない。純然たるスポーツとして世界的にファンが増えている。障害者と健常者が多様性を認め合い、個性や能力を発揮できる「共生社会」を構築するためにも、大会のPRをさらに強め、開催に向け機運を盛り上げていきたい。

 東京パラリンピックは東京五輪と同一の大会組織委員会が運営する。開会式、閉会式を含め競技は全て五輪会場を利用する。競技場や選手村の準備は順調に進んでいる。

 一方、東京都が今年2月に発表した世論調査結果によると、大会を「競技会場で直接観戦したい」という回答は16・2%にとどまった。観戦、応援はパラスポーツの魅力を肌で感じる絶好の機会である。競技への関心を高め、集客を図るべきだ。

 大会組織委は学校や自治体に低価格のチケットを提供したり、家族観戦を呼び掛けたりする方針だ。国際パラリンピック委員会が開発した教材を用い、児童・生徒が障害者への理解を深める学習が全国に広がっている。この動きを、会場で観戦する人の増加につなげたい。

 東京大会開催決定時には6社だった日本障がい者スポーツ協会の公式スポンサーは現在30社超。大会に向けた選手強化には心強い状況だ。しかし、大会後にはスポンサーの撤退が懸念されている。日本財団が約100億円を投じて設立した「パラリンピックサポートセンター」など、支援施設の中には閉鎖される方向のものがある。

 競技団体の大半が21年以降、事業を縮小するとの調査結果もある。パラスポーツの活況が一過性のものとなっては、大会の意義は大きく損なわれる。スポンサーや支援団体は将来にわたってパラスポーツの普及、発展を支えてほしい。

 首都圏では、車いす利用者を想定したホテルのバリアフリー化や交通機関の改善などが課題になっている。全国でバリアフリーの街づくりを一層進めなければならない。障害者が暮らしやすい街は高齢者にとっても生きやすい。高齢化が著しい本県でもバリアフリー化は大きな課題である。

 障害者が健常者と共に生活し、働き、スポーツを楽しむ。そんな共生社会の実現がパラリンピック開催の狙いである。相手の人格や個性を尊重し合う「心のバリアフリー」も浸透させる必要がある。大会後へ継承すべきレガシー(遺産)を豊かにしたい。