北斗星(7月22日付)

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 秋田市の繁華街・川反に近い柳町町内会の会長山田図南(となん)さん(76)はもともと国の防衛の在り方に疑問があったわけではない。だが新屋地区住民の思いに触れ、義憤に駆られた

▼陸上自衛隊新屋演習場に地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を配備する政府の計画に地元住民は反対運動を展開中。住宅地や学校に近過ぎて危険性が高いことなどが理由だ。山田さんがこの問題を町内会の総会で議題に上げたのは今年4月。配備反対が決議され反響が広がった

▼柳町町内会は26世帯と小規模だが、少しでも新屋の人たちの力になればと結束した。当時、反対運動はほぼ新屋周辺にとどまっていたものの、これは秋田全体の問題だと受け止めた。行動を起こすのは、ごく自然なことだったと山田さんは振り返る

▼高校卒業とともに秋田を離れ、家業の酒店を継ぐため30代で帰郷した。あらためて気付いたのは、ここには竿燈まつりをはじめ大切な伝統文化が脈々と息づいているということだ。地上イージスの配備で平和な秋田のイメージが損なわれてしまう。そんな危機感もあった

▼きのう投開票が行われた参院選。年金や消費税などさまざまな争点の中に、地上イージスも加わった。県民の多くは、これまで以上に平和の大切さや防衛の在り方を真剣に考えただろう

▼山田さんは「ここに暮らす者の切実な思いを一票に込めました」と語る。その思いに真摯(しんし)に向き合わなければ、政治への信頼は土台から崩れていく。

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