社説:東京五輪まで1年 課題解決へ抜かりなく

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 東京五輪はきょう24日で開幕まで1年となる。開催競技の代表選手が内定し始め、徐々に機運が高まってきた。メインスタジアム・新国立競技場をはじめ各施設の整備も順調に進み、交通の混雑緩和策など本番に向けたさまざまな試行が始まった。

 人口過密な首都圏を主会場に厳しい暑さが予想される中、33競技が集中開催される。選手は1万人以上、観客は約780万人が見込まれる。大会組織委員会は、各国の選手一人一人が力を存分に発揮できるよう、競技環境の万全な整備と円滑な輸送の実現に向け、課題を一つ一つクリアしていきたい。

 交通面では首都圏の大動脈である首都高速道路の混雑などが懸念される。このため政府や組織委は緩和策の一つとして、時差出勤や自宅などで働く「テレワーク」を企業に促している。期間中の首都高の交通量を最大30%減らすため、24日と26日には入り口4カ所を終日閉鎖するなどの交通規制の実験を行う。

 経済活動に不便を強いることへの賛否はあるが、働き方を変える契機にもなる。配送経路や時間の見直しを含め、混雑緩和に向けた企業の取り組みに注目したい。

 暑さ対策として、マラソンや競歩は開催時間を早朝にずらした。コースや歩道に遮熱性に優れた特殊舗装を施すほか、散水装置なども設けて対応する。酷暑への耐性の有無が勝敗を分けてしまう事態は極力避けなければならない。屋外競技については日差しを避ける環境づくりを進めるほか、室内競技では空調管理を徹底する計画だが、これらの対策が機能するか、しっかりと見極める必要がある。

 テロ対策にも細心の注意が必要だ。特に、平昌冬季五輪で発生したサイバーテロは大きな脅威となっている。被害が起きた時は当然だが、その兆候が見られた場合にも組織委や各省庁、関連企業が情報を共有し、迅速に対応することが重要だ。本番まで訓練を重ねたい。

 各施設が大会後、どのように活用されるのかにも目を配りたい。改修中の国立競技場のほか、晴海地区にビル群が整備される選手村、新設の各競技会場はどうなるのか。過去の五輪では大会が終わると使われなくなり、廃虚同然となった例が少なくない。方向性は示されているが、組織委は残り1年で詳細な利用計画を詰めるべきだ。

 五輪憲章はスポーツの文化・教育との融合をうたうほか、人権の大切さを掲げる。多様な人々が共に生きる社会の構築が求められる中、五輪、パラリンピックを通じて五輪の意義や共生社会の大切さをいかに発信するかが問われる。

 東日本大震災からの「復興五輪」として、現在の日本、被災地の姿を世界にどう伝えるかも重要だ。各国の選手、関係者と被災地住民の交流など、さまざまな取り組みを通じて復興ぶりをアピールしたい。