社説:地上イージス配備 「反対」重く受け止めよ

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 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備の是非が大きな争点となった参院選本県選挙区は、配備反対を訴えた野党統一候補の無所属新人が勝利した。秋田魁新報社が参院選に合わせて実施した世論調査では、新屋配備に「反対」と答えた人が60%を超え、「賛成」の28%を大きく上回った。政府は、本県の有権者の多くが地上イージスの配備に反対している事実を重く受け止めるべきだ。

 選挙期間中の論戦では、野党統一候補は「(住宅密集地に)ミサイル基地は置けない」と一貫して主張した。それに対し、自民党現職は配備への賛否を最後まで明言しなかった。

 参院選の争点は消費税増税の是非や年金不安をはじめとする社会保障の問題など多岐にわたった。だが、本県では地上イージスを巡る候補者の主張の違いが、多くの有権者の判断材料になったとみられる。

 世論調査では、防衛省に対する県民の根深い不信感もはっきり表れた。同省は県や秋田市、地元住民らに示した調査報告書で、住宅密集地に隣接した演習場でも住民に影響が及ばないよう、安全に地上イージスを配備できると説明した。

 この説明に対して「信用できない」と答えた有権者は69%だった。「信用できる」は24%にとどまった。「新屋ありき」とも受け取れる同省の姿勢や、調査報告書のデータがずさんだったことへの批判があることは間違いない。

 配備への反対は、候補地になっている秋田市だけにとどまらないことにも注目したい。県内全6地域で「反対」が50%を超えた。秋田市のほか、「大仙・仙北」「横手・湯沢」の両地域でも60%を上回った。年代別では20代以下と30、50、60代で60%を超え、他の年代でも50%超だった。

 佐竹敬久知事は、配備を巡る県民の関心について「(候補地から)遠方の地域では薄い」と発言したが、その考えは改めるべきだ。今回示された県民の意向を尊重し、防衛省との今後の協議に毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしい。

 安倍晋三首相は選挙期間中、2度にわたって本県入りした。街頭演説の中で防衛省のずさんデータ問題については謝罪したが、地上イージスの必要性は訴え続けた。岩屋毅防衛相は選挙後、「総合ミサイル防衛体制は防衛政策の柱。速やかに配備できるよう地元理解を得ることに全力を尽くす」と述べ、引き続き新屋配備を目指す考えを示した。

 新屋演習場は住宅密集地に隣接しており、地上イージスの配備地には適していない。多くの住民が他国の攻撃やテロの標的になることなどに不安を抱いている。政府は県民の声に謙虚に耳を傾け、計画を根本から見直すべきだ。

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