北斗星(7月29日付)

お気に入りに登録

 「気軽に美術作品を発表できる場が欲しかった」。秋田市大町の一角にあるギャラリー「ココラボラトリー」を運営する後藤仁さん(44)は、自身もデザインを手掛ける作家の一人。ギャラリーを始めた動機をそう語る

▼開設したのは2005年春。当初は認知度が低く、展示場所に借りたいと申し出る人は限られていたが、地道な宣伝が実を結び、徐々に浸透した。現在は展覧会や各種イベントに毎週活用されている。文化の拠点として、すっかり定着したといえる

▼どれだけ美術が好きでも、それで生計を立てるのは容易なことではない。だが生活のため美術とは別の仕事に就いた後も夢を追い、こつこつと制作に励む人は少なくない。ギャラリーはそんな人たちにとって、かけがえのない存在となっている

▼小さい頃から絵を描くのが好きだったという後藤さん。高校で美術部に入って腕を磨き、秋田公立美術工芸短大(現秋田公立美術大)で学び、デザインの道を進んだ。ギャラリー運営を通じて秋田には多くの作家がいることを知り、心強く思ったという

▼秋田市新屋地区のまちづくりイベントの実行委員長を昨年から務める。今年は上小阿仁村で毎年開催される芸術イベント「かみこあにプロジェクト」のディレクターも引き受けた。来月10日の開幕を控え、大忙しである

▼「大切なのは経済的な豊かさよりも、心の豊かさだ」と後藤さん。秋田をもっと楽しめる場にしようと、地域文化の発信に一層力を注ぐ。