社説:ふるさと納税 趣旨に沿った運用図れ

お気に入りに登録

 ふるさと納税の寄付総額が伸びている。2018年度は全国で前年度比約1・4倍の5127億円に達した。本県も同様の状況で、県と県内25市町村に寄せられた寄付総額は約1・3倍の28億円余となった。全国、本県とも6年連続の過去最多更新であり、注目度は高まっているといえそうだ。

 自治体にとって、財政運営が厳しさを増す中、寄付が順調に伸びているのは歓迎すべきことだ。ただ、高価な返礼品を呼び水にして多額の寄付を集める行き過ぎた競争が大きな問題になったことを忘れてはならない。そのため総務省が今年6月から返礼品の規制に乗り出したほどだ。自治体には節度のある適切な運用が求められる。

 ふるさと納税は、寄付を通じて出身地に恩返しをしたり、関心のある自治体を応援したりできる仕組みとして08年に創設された。寄付獲得のため自治体間で返礼品の豪華さを競い合うことが趣旨に合わないのは明らかである。制度の原点に立ち返って取り組むべきであることを改めて銘記したい。

 総務省が返礼品に設けた基準は▽地場産とする▽調達額は寄付額の30%以下とする―など。これを守らない自治体は制度から除外し、寄付をしても住民税の控除といった優遇措置を受けられなくする。6月以降、ネット通販大手のギフト券を返礼品とする大阪府泉佐野市など4自治体が、過度な返礼品で多額の寄付を集めたと判断され、除外された。

 本県で除外された自治体はないが、横手市は調達額が寄付額の30%を超える例があったため税優遇期間が6~9月の4カ月に限定された。市は対応を改め、10月以降も優遇を受けられるよう同省に申請している。他の自治体もいま一度制度の趣旨を胸に刻み、基準順守の徹底を図るべきだ。

 返礼品目当てではなく、地域の課題解決に資金面で協力したいとする応援団をいかに増やすかが問われる。

 注目される自治体の一つが湯沢市だ。18年度、寄付金を充てる具体的なプロジェクトを示して、目標額も掲げる「クラウドファンディング型ふるさと納税」を導入。特産の三関せりの生産拡大に向けて起業を目指す市内若手農家のプロジェクトをPRし、起業経費の一部500万円を約2カ月間にわたり募集したところ、延べ80人から506万円が集まった。

 本年度は県や鹿角市も、起業支援を目的に同様の取り組みを実施する見込みだ。どんな地域課題解決につながるのかが分かれば寄付しやすくなる。寄付金の使い道を明示することは有効である。

 返礼品の規制を契機に、ふるさと納税が原点回帰し、地域活性化につながることが望まれる。湯沢市のような成功例が増えれば、関心は一層高まるだろう。今後の進展に期待したい。

同じキーワードのイベント情報