社説:来夏の高校総体 憧れの舞台存続を図れ

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 来年夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の開催が危ぶまれている。当初、北関東4県のブロック開催の予定だったが、前後する時期に開催される東京五輪・パラリンピックの影響で競技会場や選手、関係者の宿泊先が確保できず、21府県で分散開催する異例の事態になっている。その予算確保のめどが立たない状況が続いている。

 高校生アスリートが最大の目標としている大会であり、日本のスポーツの裾野を広げ、競技力の向上を支えてきた大切なイベントである。開催が中止されるような事態は避けなくてはならない。

 インターハイは元々、各都道府県の持ち回りだったが、現在はブロックごとの開催になっている。来夏は茨城、栃木、群馬、埼玉の4県が開催地に決まっていた。しかし2016年、全30競技のうち11競技を4県で行い、残る19競技は他府県に分散することを決定した。調整は難航し、全競技の開催地が確定したのは今年4月だった。本県は含まれていないが、東北では青森で相撲、山形で体操、岩手で卓球などが行われる。

 来夏のインターハイの会期は8月10~24日の予定となっている。高校生の夏休み中で、しかも東京五輪とパラリンピックの開催期間を避けて実施するには、この時期を選ばざるを得なかった。

 開催経費は開会式を除いて総額約12億円。通常は開催経費の約7割を開催地の都道府県、市町村が負担する。北関東以外の府県には予定になかった開催であり、予算獲得が難しい状況にある。全国高体連は主催者として、開催経費を確保する必要に迫られている。高校生の憧れの舞台を存続させるために全力を尽くしてほしい。

 大会全体の予算削減を図り、規模を縮小することにしている。特別基金を16年に設置し、7億円を目標に寄付金を募っているが、集まったのは先月末で約5千万円にとどまっている。

 先月下旬からは、インターネット上のクラウドファンディングでも寄付金募集を開始した。期間は10月23日までで、目標額は4千万円だが、今のところ寄付額は100万円に満たない。開催が危ぶまれる状況を広く知ってもらうため、クラウドファンディングを利用したというが、より効果的なアピールの方法を検討しなければならない。

 夏のインターハイは1963年から毎年開催されている。全国47都道府県の代表が集う高校スポーツの祭典である。五輪や世界大会で活躍する選手の多くが、この大会を経験することで成長してきた。

 来年の大会が中止になれば、日本のスポーツの競技力低下にもつながりかねない。全国高体連の努力はもちろん必要だが、スポーツ界全体の問題と考えるべきだ。各競技団体などの協力も得ながら、危機的状況を乗り切ることを期待したい。