北斗星(8月24日付)

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 クマによる人身被害が今月に入って相次ぎ、県内全域に「ツキノワグマ出没警報」が発令された。負傷者は民家敷地内や畑で被害に遭っており、人間の生活圏内でも安心できない非常事態だ

▼先日、北秋田市の伊勢堂岱遺跡を見学した際、ガイダンス施設の「縄文館」からクマよけの鈴を手渡され、ハッとさせられた。遺跡はクマの出没で一昨年夏から昨年春まで立ち入り禁止となった経緯がある。周囲には電気柵が設置されていた

▼腰に下げた鈴の音が響く中、遺跡内を進み、四つの環状列石を順番に巡った。見学者は20人ほど。クマへの警戒のため、地元の男性が棒を手に列の最後尾を守った

▼この伊勢堂岱と鹿角市の大湯環状列石を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の国内推薦候補に選ばれ、注目度が高まっている。だが大湯では先月クマが目撃され、一時立ち入り禁止になった。クマ対策は両遺跡にとって大きな課題だ

▼伊勢堂岱を巡った際、ジュニアボランティアガイドの中高生に感心させられた。数々の土偶を紹介しながら「私のお薦めはこれです」。遺跡近くの湯車(ゆぐるま)川を指さして「秋にはたくさんのサケが遡上(そじょう)します」

▼遺跡の特徴や縄文人の暮らしぶりなど、説明はいずれもよどみなく、古里への誇りに満ちていた。伊勢堂岱や縄文への興味を一層かき立てられた。だからこそクマ対策は万全にと願う。安心して何度も遺跡巡りを楽しめるように。