北斗星(9月1日付)

お気に入りに登録

 横手市大森町八沢木の菊地一男さん(68)は、趣味で写真を撮り始めてから50年近くになる。被写体は人物、特に子どもの表情を捉えたものが多い。豊かな自然に引かれ、山歩きもした

▼中でも夢中になったのが「大曲の花火」だ。20歳の頃、妻と結婚する前に2人で見物に出掛け、衝撃を受けた。当時は今ほどの人気はなく、客も少なかった。河川敷でのんびり見物できた。そこで眼前に広がる鮮やかな色彩美に魅せられた

▼以来、欠かさず見物するようになり、大曲の花火を撮ることが自身の年中行事になった。アナログカメラの時代はフィルム4、5本分、デジタルになってからは500枚ぐらい撮る。それでも、お気に入りは毎年せいぜい2、3枚。難しいからこそ、気合が入る

▼夜空にぽっかり浮かぶ花火を遠くから捉えた写真も味わい深いが、何より目の前で展開される迫力いっぱいの光景を切り取りたくて、打ち上げ会場に近い堤防などに三脚を立ててカメラを構える。クライマックスの大会提供花火には毎回心を躍らされる

▼農業団体に長年勤務。現在は公民館長を務める傍ら、地元の伝統行事である八沢木獅子舞の保存・継承などに取り組む。少子高齢化が進む中、地域活動に奮闘する毎日だ

▼大曲の花火は、そんな菊地さんにとって元気を注入する栄養剤みたいなもの。「これをやらないと夏が終わらない」。きのうも豪華絢爛(けんらん)な大輪を次々と写真に収めては、年に一度の幸せなひとときをかみしめた。