北斗星(9月3日付)

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 韓国に太鼓奏者と歌い手の2人だけで演じる「パンソリ」という伝統芸能がある。日本での周知に一役買ったのが、韓国映画の巨匠林権澤(イムグォンテク)監督の文芸作品「風の丘を越えて~西便制(ソピョンジェ)」(1993年)だ

▼声に情感を込めるため、歌い手である娘を盲目にしてまで芸道を追求する旅芸人の姿を描いた。95年の「あきた十文字映画祭」で見て、クライマックスの熱唱シーンに引き込まれた

▼撮影監督を務めた鄭一成(チョンイルソン)さんが映画祭にゲストとして訪れ、「日本映画が韓国で堂々と見られる日が来ればいいが」と話したのを覚えている。韓国では当時、日本の映画や音楽などが公開禁止だった。日本の大衆文化の開放は98年から段階的に始まった。以来20余年。日本では韓流ブーム、韓国でも「日流」と呼ばれる現象が起きた

▼一方で歴史問題はくすぶり続け、日韓関係は度々きしみが生じる。現在は戦後最悪とされ、島根県の竹島に韓国議員団が上陸して領有権を訴えるなど、関係修復は程遠い感がある

▼ただ、関係改善を下支えする心強い動きもある。先月下旬には韓国・梁山(ヤンサン)青年会議所(JC)の一行が来日し、38年前から提携している由利本荘JCのメンバーと交流を深めた。一昨日はソウルで日韓文化交流行事が行われ、羽後町の西馬音内盆踊りが出演して盛り上げた

▼国同士の関係が悪い時こそ文化交流が必要だ。文化は対立しがちな両国民の心を近づけ、相互理解に貢献してきた。その力にいま一度望みを託したい。