社説:全国海づくり大会 漁業活性化への契機に

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 第39回全国豊かな海づくり大会が7、8の両日、秋田市を会場に開かれる。本県開催は初。天皇陛下が即位してから初めて来県し、式典や放流行事に出席される。本県の多種多様な魚介類や美しい海辺の景観などを全国にアピールするとともに、本県の海の恵みを県民一人一人があらためて認識し、次代へ継承していく機運を高めたい。

 海づくり大会は1981年の大分県を皮切りに毎年開かれており、水産資源の保護や海の環境保全、漁業振興などを図る狙いがある。開催地の自治体や漁業協同組合でつくる実行委員会などが主催。全国植樹祭などと並び、天皇陛下の主要地方公務の一つとされる。

 秋田大会には本県の漁業関係者ら約600人を含め、全国から約1400人が参加する。テーマは「海づくり つながる未来 豊かな地域」。秋田の海の魅力を県内外に広く発信する場になることが期待される。

 式典では、約150種類が水揚げされる本県の魚介類の豊富さや、それを生かした伝統的な食文化などを、高校生らがミュージカル風に表現して紹介する。また、県内漁業者が海の資源を守り、漁業の発展に取り組む決意を表明する。

 放流行事では資源の継承を願ってマダイ、トラフグの稚魚約400匹が海に放される。漁船による海上歓迎パレードも行われる予定だ。

 本県沖は豊かな漁場に恵まれているが、漁業は厳しい現実に直面している。2018年漁業センサスによると、1960年代に4千人近くいた県内漁業就業者は千人を割り、700人台まで落ち込んだ。これに伴い漁獲量は、ピークだった75年の3万3千トン台から8割超も減少し、2018年は6200トンに低迷。海に面する39都道府県のうち3番目の少なさだ。

 就業者数の減少は、高齢化に伴い引退する漁業者が増える一方、若者らの新規就業が進まないことが理由だ。漁業は天候に左右される上、燃料をはじめとする資材の高騰などで苦しい経営を迫られる場合も多い。安定した所得の確保が課題だ。

 漁業者の収入アップに関しては、さまざまな試みが行われている。付加価値の高い魚の出荷を目指し、鮮度と品質を維持するための血抜き、神経抜きといった技術を習得し実践する漁業者がいる。トラフグの国内最北の産卵場が本県沖にあることに着目し「北限の秋田ふぐ」として売り込んだり、男鹿市産の本ズワイガニをブランド化したりする動きもある。知恵と工夫次第で、経営を安定させる方策は他にもあるのではないか。

 大会を機に、本県の漁業者が一体となって漁業の活性化策を探り、行動に移してほしい。行政は意欲的な漁業者を支援すると同時に、産地化が可能な魚介類の稚魚育成、放流を通じて資源拡大を図るなど、漁業振興に一層力を注ぐべきだ。

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