ひとり考:妻の死 「包んでやれなかった」

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妻玲子さんが編んだカーディガンを手にする勇さん。長く着ているので少し色がくすんでいる
妻玲子さんが編んだカーディガンを手にする勇さん。長く着ているので少し色がくすんでいる

 淡いオレンジ色のカーディガンを、鈴木勇さん(83)=井川町=は大切にしている。編み物が好きだった妻玲子さん(故人)の手作りだ。「よく私が袖口を引っ掛けたので、そこだけ編み直してくれた。今も着てますよ」。長く愛用しているので、少しだけ色がくすんでいる。

 高校を卒業して営林署に勤めた勇さんは、24歳の時に高校の同級生だった玲子さんと結婚した。「私は奥手な方だったから、顔は覚えていたけど、ほとんど話したこともなかった」。交際中はよく2人で秋田市へ出掛け、駅前や有楽町で映画を楽しんだ。

 勇さんは現場の山に寝泊まりすることが多く、結婚当初は離れ離れの生活が続いた。その時、夫婦をつないだのが「交換日記」だった。

 「夫婦で1冊ずつ大学ノートを持ち、離れている間のことを書きました。それを読めば『こういうことがあったんだなあ』とお互いに分かる。そうでもしないと、気持ちを伝えることができなかったから」

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