ひとり考:お母さん 親はずっと親のまま

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病室のベッドで、母の手を握るタミ子さん。母の胸元には「守り神」の山の写真がある
病室のベッドで、母の手を握るタミ子さん。母の胸元には「守り神」の山の写真がある

 この世でたった一人の母。当たり前のように、自分を見守ってくれた母。きれい好きで達筆な母。「自分はいくつになっても、母にかなわない」と思ってきた。そんな母(94)の老いと今、タミ子さん(72)=大仙市、仮名=は向き合っている。

 「ばっちゃん、来たよ」。午前9時すぎ、病室のベッドで横になる母にタミ子さんが声をかけた。ぬるま湯に浸したガーゼで目やにを拭き取ると、母は目を開け、タミ子さんを見てほっとした顔になった。

 母は、この春に入院した。今は点滴で栄養を取りながら、口からヨーグルトを食べる練習をしている。量は1回に5、6さじ。まだ会話はできないが、語りかけると小さくうなずく。

 できるだけ母のそばにいたい。そう思って、タミ子さんは朝から夕方近くまで病室で過ごす。帰宅時は「帰る」と言わない。母に、寂しい思いをさせたくないからだ。「じゃあ、ちょっとおむつ買ってくるからな」。耳元でそっと告げて、タミ子さんは自宅に戻った。

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