社説:大学入試英語 受験生の不安払拭急げ

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 来年度から始まる大学入学共通テストに導入される英語の民間検定試験は、準備が大幅に遅れている。民間試験の開始時期まで半年余りに迫っているにもかかわらず、試験日程や会場など、全体像が固まっていない状況だ。

 共通テストの最初の受験生となるのは現在の高校2年生。このままでは受験生の不安が募るばかりである。文部科学省は試験の詳細を早急に決めるよう実施団体に働き掛け、受験生らの不安を払拭(ふっしょく)しなければならない。

 共通テストは、現在の大学入試センター試験の後継。知識偏重型の試験から思考力、表現力などを問う試験への転換を図る。英語では「話す」「書く」能力を重視する。全国一斉の試験日程で話したり書いたりする能力まで判定するのは困難であるとして、既存の民間試験を利用することになった。

 来年4月から12月までの間に、民間6団体が実施する計7種の試験から選択して、最大2回まで受験することができる。成績はセンターが集約し、大学側に提供する。従来のマークシート式試験は2023年度までは残される。民間試験は、一定の成績を得ることを出願資格にしたり、マークシート式試験への加点に用いたりと、大学によって利用法が分かれている。

 当初は「TOEIC」も参加する予定だったが、運営団体は7月、突然参加の見送りを発表した。責任を持って運営できないからだという。民間任せの文科省の見通しの甘さが露呈したというほかない。

 試験の一つ「GTEC」は、試験会場について「47都道府県に各1カ所以上」とするだけだ。「英検」は全国に約260会場を設ける予定だが、今月中に受験の予約申し込みの受け付けを始め、申し込み状況を見て会場確保を進めることにしている。このような状態で本当に4月から試験が実施できるのか。

 他にも課題は多い。異なる試験の成績をどうやって公平に評価するのか、疑問を抱かざるを得ない。民間試験の受験料に加え、会場によっては旅費、宿泊費がかかる場合もあるだろう。受験生の経済事情への配慮が求められる。

 民間試験の準備の遅れは大学側にも影響を与えている。文科省の調査によると、全国の国公私立大の3割が、民間試験を利用するかどうかまだ決めていない。試験の情報が出そろわないと判断できないとの声がある。受験生にとっては、志望校の選択や受験勉強に支障を来しかねない。

 全国高等学校長協会は、「混乱が起きるのは必至だ」などとして、民間試験の実施延期を求める異例の要望書を文科省に提出した。文科省は延期はできないとするが、どうやって事態を収拾するのか。十分に説明するとともに、対策を急がなければならない。