社説:改造内閣発足 適材適所と言えるのか

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 安倍改造内閣が発足した。安倍晋三首相は「安定と挑戦」を掲げ、閣僚19人のうち麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官を留任させる一方、小泉進次郎氏ら13人を初入閣させた。

 閣僚の大半が入れ替わった割には、いまひとつ清新さを感じない。萩生田光一文部科学相、衛藤晟一1億総活躍担当相をはじめ、初入閣組に安倍首相の側近が目立つからだ。過去2回にわたり自民党総裁選を争った石破茂元幹事長の派閥からの入閣はなかった。身内で固めた「お友達内閣」と指摘されても仕方がないだろう。これで適材適所と言えるのか。はなはだ疑問である。

 自民党役員人事に目を向ければ、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長が留任となった。麻生氏、菅氏と合わせ、政権全体で主要ポストの顔触れを変えなかったのは、まさに安定を最優先させた結果だろう。その分、権力の集中が進み、挑戦どころか政治が停滞してしまうことが懸念される。

 人口減少や少子高齢化が進む中、いかにかじ取りするかが問われている。金融庁審議会の報告書で老後は年金以外に2千万円が必要と指摘され、改めて浮き彫りになった年金不安をどう解消するのか。安倍政権にはこれまで、そうした重要課題から国民の目をそらそうとする姿勢が見られたが、もう許されない。将来を見据え、正面から取り組まなければならない。

 看板政策に掲げた地方創生で、いまだに大きな成果がないのも問題だ。安倍首相はアベノミクスで景気が回復したと強調するが、地方には恩恵が行き渡らず、むしろ大都市圏と地方の格差は広がっている印象だ。東京一極集中の是正などに今度こそ本腰を入れ、活路を開いていく必要がある。

 外交も懸案が山積みだ。元徴用工問題を発端に悪化の一途をたどる日韓対立にいかに臨むべきか。日米関係では、貿易問題以外に在日米軍駐留経費負担を巡る交渉も控えている。北朝鮮の拉致問題は解決の糸口が見えない。ロシアとの北方領土交渉も行き詰まっている。今後一層難しい対応を迫られるのは必至である。

 本県にとっては、秋田市新屋が配備候補地となっている地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る問題にどう取り組むのかが注目点だ。防衛省は再調査して適地かどうか検討するとしているが、住宅地近くに配備すること自体あり得ない選択であり、白紙撤回することが求められる。

 安倍首相の党総裁任期はあと2年だ。党是である憲法改正の実現に躍起だが、改憲を争点に掲げた参院選では与党に一部野党を加えた改憲勢力が国会発議に必要な3分の2を割り込んだ。国民の後押しがあるとは言い難い。改憲に執着するのではなく、国内外に山積する課題解決に全力を挙げるべきだ。