北斗星(9月12日付)

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 「味覚の秋」に異変が起きている。先日、東京・品川で開かれた「目黒のさんま祭り」で提供されたサンマ7千匹は冷凍物だった。例年であれば岩手県宮古市から生サンマが届けられることになっている。今季は初水揚げが大幅に遅れているため、やむなく昨年秋に取れた冷凍物になってしまった

▼同市水産課の担当者は「旬の味を届けたかった」と苦しい胸の内を明かす。庶民の魚と言われるサンマは近年、資源量の減少が響いて不漁が続く。スーパーでは思わず手が引っ込んでしまうほどの高値で並んでいる

▼大仙市にも毎年、宮古市からサンマが届けられる。10月下旬に開かれる「秋の稔(みの)りフェア」で千匹が無料提供され、市民らがその場で焼いて味わっている。旬の味を求めて長蛇の列ができるほどの人気ぶりだ

▼サンマの提供が始まったのは2011年10月。東日本大震災の傷がまだ残る中で宮古市職員らが直接会場に足を運び、振る舞った。大仙市が震災直後から救援物資を届け、ボランティアを派遣したほか、被災者を大曲の花火に招待したことへの感謝の気持ちが込められていた

▼その心意気に大仙市民は胸を熱くした。被災地支援にさらに力を注ごうという動きが広がった。職員の人事交流も続いており、10月上旬には友好交流都市協定を結ぶまでに発展している

▼宮古市によると、フェアにはいつも通り生サンマを届けられる見込みという。復興途上の被災地の思いを受け止め、絆をさらに強めたい。