社説:台風15号広域停電 一刻も早い全面復旧を

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 台風15号の直撃による千葉県内の広域停電は発生から1週間が過ぎた。依然7万戸余で電気のない生活を強いられている。停電の影響で断水や通信障害が発生。エアコンが使えなくなった施設で熱中症で亡くなった高齢者もいる。東京電力は、一刻も早く全面復旧を実現しなければならない。

 15号は9日未明に千葉市付近に上陸し、最大瞬間風速57メートル超を記録した。首都圏は鉄道の運休が相次ぎ、大混乱した。千葉県内では高圧線の鉄塔2基が倒れるなど、送配電網に被害が広がった。千葉を中心に7都県で最大約93万戸が停電した。

 東電は当初、11日中に全面復旧するとしたが、その後何度も見通しを修正。27日までの復旧を目指すとしている。電柱、電線の被害が想定を大きく上回った上に、倒木などのため現場にたどり着くのが難しい場所があるからだという。

 東電が早期復旧の見通しを示したために政府や関係機関に油断が生じ、被害状況の把握が遅れたのではないかとの指摘がある。初動時の正確な情報収集は災害対応の基本であり、「想定外」で済む話ではない。内閣府は10日に情報収集の先遣チームを千葉県庁に送ったが、停電などの被害が発生した9日のうちに派遣すべきで、対応が遅かったと言わざるを得ない。

 気掛かりなのは、入院患者や高齢者など災害弱者の置かれた状況だ。医療機関や福祉施設で停電が続き、これまで3人の高齢者が熱中症の疑いで亡くなった。人工透析が必要な患者の多くは、かかりつけの病院で透析を受けられなくなった。人命に関わる問題であり、電源車の配置を急ぐなどして危険を回避するべきだ。

 停電した地域では通信設備の非常用電源が不足し、固定電話3万回線以上が不通となった。インターネット回線は使えず、携帯電話はつながりにくくなった。一部では県と市町村の連絡が十分に取れない事態も生じた。そのために、被害が拡大したとすれば重大な問題である。

 大規模停電と復旧の遅れの要因を徹底検証しなければならない。二度と同じ事態を繰り返さないことが肝要である。

 電柱は風速40メートルまで耐えられる強度が求められているが、15号の暴風はそれを上回った。鉄塔や電柱などの強度を見直すことが必要だ。災害に強い送配電網を作る上で、電柱をなくし、電線の地下埋設を進めることが最も有効である。コストは高くなるが、長期的な計画を立て、着実に取り組みたい。

 本県では2012年4月、台風並みに発達した低気圧のために強風が吹き荒れた。各地で鉄筋コンクリート製の電柱が倒れるなどして、9万8千戸が停電した。昨年3月にも強風により、4万8千戸超が停電する被害があった。千葉や首都圏の教訓を、本県の防災、減災対策に生かさなければならない。

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