ひとり考:ママはがんなの?(上) 病名、知らされぬまま

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がんを子どもに伝えるかどうか。誰もが悩む
がんを子どもに伝えるかどうか。誰もが悩む

 ママがあの時、私に「がん」のことを話してくれなかったのはどうしてなんだろう。マミさん(21)=仮名、県央部住、大学4年=は9歳で母を亡くしてからずっと、こう自問してきた。

 「強くて、厳しいママでした。私と弟を一人前に育てようと、懸命だったのかな」。シングルマザーで仕事と子育てに追われる中、少し前に気付いていた乳房のしこり。けれど、すぐ病院に行く余裕はなかった。ようやく受診できた時、がんは既に転移していた―全ては、マミさんが母の死後、断片的に知り得た情報をつなぎ合わせた結果だ。

 ◇  ◇

 手術後、母はウィッグを着けて職場に復帰した。通勤に使う車の中には、いつもビニール袋が置いてあった。仕事中に時折、気持ち悪さを感じては車まで走り、嘔吐(おうと)していたらしい。看護学生となった今なら、それが化学療法による副作用だったと想像できる。

(全文 1586 文字 / 残り 1217 文字)

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