北斗星(9月23日付)

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 先端が三角形のようにとんがって高さや太さがそろっている。同じ模様が繰り返されるようで、誰かがデザインしたみたいだ。そんなところが、日本三大美林の一つとされる理由なのだろうと改めて納得した

▼好天に誘われて出掛けた秋田市の「仁別国民の森」に残る天然秋田杉(天杉)の林である。ボランティアガイドの女性が、樹齢250年ほどと教えてくれた。藩政時代から守られてきた林が市中心部からそう遠くない場所に残っていて、周辺を散策できる。ぜいたくと言っていい

▼仁別森林博物館の展示で、同じ杉でも太平洋側の杉と、秋田杉など日本海側の杉とではDNAの構造が違うことを知った。2007年に確認されたという。秋田に住みながら秋田杉について知らないことが多く、反省しきりだった

▼大仙市の払田柵では、千年前に杉の角材が用いられていた。万葉集には、既に杉が植林されていたことを示す和歌が収められている。秋田県人だけでなく日本人にとっては、最も親しみ深い樹種となっている

▼天杉は資源保護のため、12年度で市場への供給が停止された。人工杉になっても、大館の曲げわっぱの弁当箱は依然高い人気を誇る。樹齢80年以上の杉は、高級建具の材料として需要が伸びている。秋田杉のブランド力は健在だ

▼秋が深まると杉の葉で作った「杉玉」が造り酒屋の軒先につるされ、新酒ができたことを知らせるのは風物詩である。杉と結びついた多様な文化も守っていきたい。

杉の蓄積量全国一を誇る秋田県。どうすれば生かせるのか、方策を探りました