ひとり考:ママはがんなの?(下) どんなことも伝えて

お気に入りに登録
※写真クリックで拡大表示します
母は生前、オレンジ色や黄色、明るい色の花が好きだった
母は生前、オレンジ色や黄色、明るい色の花が好きだった

 忘れられない記憶がある。マミさん(21)=仮名、県央部住、大学4年=が小学校低学年の頃のことだ。

 週末になると決まって、母の運転する車で片道1時間ほどのドライブをした。行き先は鍼灸(しんきゅう)院。がん闘病中の母が、代替医療としてはり治療を受けるためだったと後に知る。

 往復の道中では、学校や友達のこと、たわいのない会話をした。特別な何かがあったわけではない。だが、2人きりで過ごした大切な思い出だ。

 後になって祖母から「ママも、がんを抱えて一人じゃ不安だったはず。マミがお守りみたいなものだったんじゃないか」と言われた。「少しは私を頼りにしてくれていたのかな」とうれしくなった。もしかしたら、ママは車の中で「がん」のことを私に伝えようとしていたんじゃないか―。そう考えたりもするが、直接母に尋ねてみることは、もうできない。

(全文 1412 文字 / 残り 1049 文字)

この連載企画の記事一覧