北斗星(9月27日付)

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 高級ブランドの洋服を着込んで水たばこをくゆらせ、ポーズを決める。それが若手のモデルでもなく型破りなちょいワルおやじでもなく、85歳のおじいさんとなればネット上で話題になるのも納得がいく

▼ツイッターやインスタグラムに投稿され、「シルバーテツヤ」の名でこの春、一躍有名になった八峰町民のことである。東京で先日、写真展が開かれた。企画したのは、その孫で都内に住む広告プランナー・クドウナオヤさん(29)だ

▼おしゃれな自分の服を祖父に着せて旧八森中学校の校舎や白滝神社などで撮った写真を披露。思い出話を交えて撮影場所を誇らしく説明する姿から古里への愛着が伝わってきた

▼会場にはテツヤさんも現れた。写真のファンキーな装いとは打って変わり、落ち着いたスーツ姿。確かこの人と会ったことがある。そう直感して過去の記事を見返すと、やはり18年前に取材していた。元八森町教育長だった

▼漁村に伝わる「まなぐ」と呼ばれるところてん作りの道具について解説してもらった。あの地域の物知り博士が、フォロワー13万人余の人気インスタグラマーに変身するとは。イメチェンさせた祖父を通じ、生まれ育った地域の魅力を発信するというナオヤさんのアイデアと行動力には恐れ入る

▼テツヤさんも「海外からも反響があるなんて」と感激していた。孫と祖父の温かな関係性から生まれたイケてる企画である。ちょっとした試みが、地方に光を当てることを教えてくれた。