ひとり考:街の灯 人のつながり大事に

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小林さんが描いた「母子像」。母と子が一つの存在のように寄り添っている
小林さんが描いた「母子像」。母と子が一つの存在のように寄り添っている

 あの日のことを思い出すと、医師の小林顕(あきら)さん(59)=秋田市=は今でも冷や汗がにじむ。息子の栄介さん(14)が行方不明になった6年前のことだ。

 2013年6月、小林さんは8歳だった栄介さんと一緒に愛犬クロの散歩に出ていた。千秋公園の階段を上りながら振り返ると、後ろにいるはずの栄介さんがどこにもいない。慌てて辺りを捜し、「息子がいなくなった」と110番した。

 栄介さんには、軽度の知的障害がある。活発で、外出先で迷子になることもたびたびあった。その日も気を付けていたのだが、わずかな隙にいなくなってしまった。

 当時、栄介さんは信号機の赤と緑の違いをよく理解していなかった。

 「車道に飛び出してしまうかもしれない。どこかで、けがをしているかもしれない」。汗だくで捜し回り、焦りと絶望感でいっぱいになった時、警察から、栄介さんらしき男の子が無事見つかったと連絡が入った。行方不明になってから、4時間余りが過ぎていた。

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