北斗星(10月3日付)

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 自然体験学習など、子どもたちが学校の外に出て活動する時間がどんどん減っていく。このままでは、学力偏重の教育になりかねない

▼旧岩城町の県立岩城少年自然の家で社会教育主事を務めていた男性は、そんな懸念を抱いた。1990年代半ばのこと。土曜日を休みにする「学校週5日制」への移行が段階的に進められる中、校外活動は真っ先に取りやめの対象になったからだ

▼男性は現在、潟上市の天王小学校で校長を務める戸部裕隆さん(59)。成長過程にある子どもたちを学校の中だけに押し込めないようにしよう。その思いを県教育委員会に伝え、県教委が99年度に始めた「セカンドスクール」と題した取り組みの推進役を務めた一人だ

▼地域の豊かな自然や文化に触れて学ぶ喜びを実感する。共同生活を送ることで自ら考え、判断する力を身に付ける。文字通り第2の学校。少年自然の家のほか博物館や美術館なども活動拠点として利用されている

▼開始から20年。多くの小中学校や特別支援学校がこの取り組みを行っている。羽後町では町内全4小学校が毎年合同で実施。今年も横手市の県立保呂羽山少年自然の家で先月、5年生が宿泊体験した。教員の一人は「これを経験すると、子どもたちは一回りたくましくなるんです」と目を細める

▼「学力を養うのはもちろん重要だが、自然体験などを通じて生きる力を育むのはもっと大切なこと」。本年度いっぱいで定年退職する戸部さんのメッセージである。