社説:北朝鮮ミサイル 日米韓の結束不可欠だ

お気に入りに登録

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる。飛距離は約450キロで、島根県・隠岐諸島沖合の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したもようだ。到底容認できない暴挙であり、政府の毅然(きぜん)とした行動を求めたい。

 米国はあすにも、北朝鮮と非核化を巡り実務協議を行う。北朝鮮には、協議を優位に進めるため、ミサイルの開発が進んでいることを見せつけて米国をけん制する狙いがあったと考えられる。米国は北朝鮮に対し、一切のミサイル発射を中止することを求め、強い態度で協議に臨むべきだ。日本政府は、そのことを米側に積極的に働き掛けなければならない。

 北朝鮮のミサイル発射は今年5月以降、計11回となった。SLBMの発射は2016年8月以来。EEZ内への落下が確認されれば、17年11月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)が青森県西方約250キロに落ちて以来である。

 政府は国連安全保障理事会決議違反であるとして、北朝鮮に厳重に抗議した。ミサイルの落ちた海域は好漁場で、操業する漁船は多い。船舶や航空機に危険が及ぶ可能性があった。抗議は当然だ。

 SLBMは準中距離弾道ミサイルで、通常より高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で飛距離を抑えたとみられる。実際の射程は約2500キロで、日本の全域が入る恐れがある。

 実戦配備されて潜水艦から発射された場合、事前に兆候を把握し迎撃することは困難とされる。北朝鮮は搭載する潜水艦も開発中とみられる。完成すれば、米国にとっても危険が増すことになるだろう。

 トランプ米大統領は来年の大統領選を控え、北朝鮮との緊張緩和を自らの外交成果にしたい意図が明らかだ。これまで米本土に届かないミサイルは事実上、容認する姿勢を示してきた。こうした姿勢が北朝鮮の動きを助長してきた。日韓両国にとって脅威は増大する一方だ。トランプ氏は方針を転換するべきである。

 韓国は今回のミサイル発射を受け、軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)に基づく情報提供を日本に求めた。政府は応じる方針だ。元徴用工問題に端を発して日韓関係が悪化する中、韓国は協定破棄を通告し、協定は11月に終了することになっている。互いに情報提供を打ち切ることは両国の利益にならない。政府は韓国に破棄撤回を促すとしている。粘り強く関係改善を図るべきだ。

 日韓両国だけでなく北東アジアの平和のためにも、北朝鮮の非核化は避けて通れない課題だ。北朝鮮は日米韓の連携のほころびを突いてミサイル開発を進めてきたが、これ以上許すわけにはいかない。日本政府が主導して3カ国の結束強化を図ってほしい。