北斗星(10月8日付)

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 英国ブックメーカー(賭け屋)の予想で、今年のノーベル文学賞の候補に日本人では村上春樹さんのほか、多和田葉子さんの名が挙がっていた

▼ドイツ在住の多和田さんの作品は海外で評価が高く、各国で翻訳されている。その魅力を外国人に知ってもらうために注意しなければならないのは、間違った翻訳で誤解を招かないことだ

▼多和田さんはドイツで詩集を出した時、ある日本人から「このドイツ語訳はひどい」と指摘された。「畳」が「じゅうたん」と訳されていたのだ。「翻訳家の仕事」(岩波書店)に、そんなエピソードを紹介。その上で、翻訳者には自国の読者に情景を分かりやすく伝えるため、畳という外来語をあえて使わなかった意図があるとつづった

▼こちらの翻訳は、まったく訳が分からない。秋田市公式サイトの英語のページで「秋田竿燈まつり」が「秋田コーヒーまつり」と表記された問題のことだ。作業の効率化を図るため、自動翻訳機能を使った結果だという

▼それにしても、竿燈がなぜコーヒーになってしまうのか。市は翻訳機能を別のものに切り替えて改善を図るとしているものの、システム上、職員の手で手直しすることはできず、誤った情報がアップされる状態が続いている

▼人工知能(AI)は人手不足を補う助っ人として注目されているが、翻訳者としては、まだまだ未熟ということか。本県を代表する国重要無形民俗文化財の正しい名称を、早く画面に表記してもらいたい。

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