ひとり考:ここにいるよ(上) みんな大切な「一人」

お気に入りに登録
※写真クリックで拡大表示します
子どもが生まれた時にもらう母子手帳。美奈さんが生まれた時、「おめでとう」という言葉が欲しかったと優子さんは語る
子どもが生まれた時にもらう母子手帳。美奈さんが生まれた時、「おめでとう」という言葉が欲しかったと優子さんは語る

 「みんなの中で、眼鏡を掛けている人はいますか?」。小学校の教室で優子さん(33)=県内、仮名=が質問すると、何人かが手を挙げた。

 「では、眼鏡を掛けている人に質問。眼鏡をしないで、1日生活できる?」。眼鏡の子たちが首を横に振った。

 「眼鏡がないと黒板が見えないよね。大人だったら車を運転できない。うちの娘の場合は、それが眼鏡じゃなくて『人工呼吸器』なの。自分で呼吸するのが難しいから人工呼吸器を付けてるんだけど、これを外すと、息ができなくなってしまうの。みんなと違うけど、みんなと同じなんだよ」

 娘の美奈さん(10)=仮名=は小学4年生。バレーボールの試合を見るのが大好きな女の子だ。優子さんは美奈さんの通う学校から、人工呼吸器について話をしてほしいと頼まれることがある。その時は喜んで引き受ける。「人はみんな大切な一人」だと、子どもたちに伝えたいからだ。

 美奈さんは生まれた時にダウン症と分かった。自分で歩くことができないため、2歳から車椅子を使っている。人工呼吸器を付けたのは4歳の時。口から食事をすることが難しいので、管を通して胃に栄養を送る「胃ろう」もしている。器具を使って喉からたんを吸い出す「たん吸引」や、おしっこを取り出す「導尿」も必要だ。

(全文 1636 文字 / 残り 1108 文字)

この連載企画の記事一覧