社説:地上イージス請願 再調査待たず判断示せ

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 9月県議会が閉会した。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)に配備する防衛省の計画を巡り、市民らが反対の意思表示を求めた請願8件は全て継続審査となった。

 反対請願が継続審査となったのは昨年の12月議会以来、4回連続。県民の生命、生活の安全に直結する問題であり、これ以上の先送りは許されない。次回の12月議会では明確に判断すべきだ。

 請願8件のうち1件は、演習場周辺の16町内会でつくる新屋勝平地区振興会が県議会に初めて提出したものだ。演習場について「適地ではないことを明確に表明してもらいたい」と訴えている。県民の代表である県議会が判断を避け続けるようでは、地域住民は一体誰に声を届ければいいのか。

 演習場は、住宅密集地や小中高校などに近接している。どんな安全対策が取られたとしても地上イージスが配備されれば、住民にはいつ他国の攻撃やテロの標的になるかもしれないという不安が付きまとう。住民の平穏な生活が脅かされていいはずはない。

 防衛省の適地調査報告では事実と異なるずさんデータが用いられていたことが判明。このため新屋演習場以外の秋田、青森、山形3県の国有地について、適地かどうかを再調査することになった。

 防衛省はゼロベースでの調査を強調しているが、青森、山形両県の国有地については「予備的な位置づけ」と説明。本県が地上イージスで国土を効果的に防護するための条件を満たしているという当初の考えを見直す姿勢が見られず、「新屋ありき」との疑念は拭えない。

 県議会総務企画委員会で、過半数を占める自民党は再調査結果を待つべきだとして継続審査を求めた。演習場が国有地であることから、「法的権限がない県としては国と完全に対立するのではなく、対話関係を維持すべきだ」とも主張した。

 しかし新屋配備に反対することで、国との対話の道が閉ざされるわけではない。もしそのような事態に発展すれば大きな問題である。

 自民を含む県議11人は昨年秋、地上イージスが世界で唯一、実戦配備されているルーマニアや、配備へ向けた準備が進められているポーランドなどを視察した。今春の県議選は、有権者の率直な声を聞く貴重な機会になったはずだ。

 再調査の結果が出るのは早くても来年3月ごろの見込み。請願は今年の12月議会で改めて審査される。自民の現在の姿勢からすれば、また継続審査とするのだろうか。再調査を待つまでもなく、演習場周辺の環境を考えれば配備の是非について判断できるはずである。住民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、住民第一に行動することこそが県議には求められる。