北斗星(10月12日付)

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 「ゆるキャラ」という言葉の生みの親として知られるイラストレーターのみうらじゅんさんには、「老いるショック」という造語もある。自分では若いと思っていたのに、不意に老いを感じて驚くことを指す

▼1970年代の2度にわたるオイルショック(石油危機)をもじった。数年前から本人がラジオや雑誌で紹介し、広めている。みうらさんは出演していなかったが、ラジオ番組でリスナーの「老いるショック」経験談を特集していた

▼「妻から『その話、2回目ね』と言われた」「ロックコンサートの立ち見がつらく、壁に寄りかかってしまう」「映画の上映時間が2時間を超えると、集中力が続かない」「青信号が点滅している横断歩道は渡らなくなった」「どうでもよくなったせいか、夫婦げんかが長続きしない」―。人は実にいろいろな場面で老いを実感する

▼本紙くらし欄「シニア川柳」の作品も身に覚えのある経験が詠まれていて、くすりとさせられることが多い。「戸を開けて開けた理由を探してる」「目覚ましが要らない朝に慣れてくる」

▼老いを笑い飛ばすような句もある。「毎日を明日はないと食べ放題」「病歴を特技欄に書いておく」。幾つになってもたくましく生きる姿勢に励まされる

▼「たとえ健康でも『老いるショック』は必ず来ます」とみうらさん。加齢による衰えを嘆いてばかりではやり切れない。むしろ笑いにして楽しんでしまおう。そんな思いがこの言葉には込められている。