北斗星(10月15日付)

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 今月11日は陰暦9月13日に当たる十三夜の月だった。満月から少し欠けているものの、十五夜の中秋の名月に次いで美しい月とされる。われわれの先祖は満月だけでなく、均整の取れていない形にも美を感じてきた。ことしは台風19号の接近により、雲の陰に隠れて見えなかった

▼中国由来の十五夜に対し、十三夜は平安時代に始まった日本独自の行事だ。片方しか見ないのは縁起が悪いとされ、宮中ではどちらもススキや団子などを供えて宴を開いた

▼月を巡っては、庶民の生活と結び付いた行事も多い。かつては決まった月齢の夜に月の出を待つ月待ちが盛んに行われた。十六夜、二十三夜、二十六夜などで行われ、特に二十三夜の人気が高かった。県内でも神社などに「二十三夜」と刻まれた石碑が残る

▼県教育委員会が昭和50年代前半に実施した調査によると、二十三夜の月待ち行事は20集落で確認された。全国と同じく、多くは安産祈願のための女性の集まりだ。当日は精進料理を食べながら深夜に姿を現す月を待つ。高齢化で途絶えた集落もあるだろう

▼大館市雪沢では今も続く。豊凶占いを行うのがこの地域の特徴だ。他に勢至菩薩と月読命(つくよみのみこと)の掛け軸を床の間に掛けるなど神仏習合が見られる地域もあり、興味深い

▼日に日に秋の深まりが感じられる。月の光がさえ渡る季節である。普段あまり気に留めることのない月だが、菩薩や神の姿を重ねた古人の想像力に思いをはせながらじっくり眺めるのもいい。