社説:ラグビーW杯8強 さらなる歴史をつくれ

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 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で、日本は目標だった8強入りを果たし、新たな歴史を刻んだ。世界の強豪を相手に堂々の4連勝を飾り、1次リーグをグループ1位で突破した。次戦の相手は過去2度の優勝を誇り、世界ランキング5位の南アフリカである。さらなる高みを目指し、大一番に臨んでほしい。

 2015年の前回大会で、日本は1次リーグで3勝を挙げたものの、ボーナスポイントの差で惜しくも8強入りを逃した。しかし南アフリカを破った試合は「スポーツ史上最大の番狂わせ」とも呼ばれ、試合会場にちなみ「ブライトンの奇跡」として今も語り継がれている。

 地元開催の今大会でも、日本は優勝候補のアイルランドを破る大番狂わせを演じた。さらには前回大会で敗れ、8強入りの夢を砕かれたスコットランドから白星を挙げた。強豪国を次々と破る姿はもはや「フロック(まぐれ)」でもなければ、「奇跡」でもない。その実力は本物である。

 厳しい練習を積み重ね、体力アップとともに技術を身に付け、巨漢ぞろいの外国人選手たちとも互角に渡り合えるようになった。加えて代表の31人のうち15人が外国出身選手という「多様性」を生かし、お互いの強さと弱さを上手に補完し合っている。

 選手が一体となり素早くパスをつなぐ攻撃スタイルと、2人がかりでの「ダブルタックル」などの防御からは、チームスローガンである「ワンチーム」としての意思統一が感じられる。日本は試合を重ねるごとにどんどん成長している。

 日本の勝利に呼応するように、W杯は盛り上がりを見せている。ファンの後押しも日増しに大きくなってきた。各地でパブリックビューイングが開かれており、大勢のファンが詰め掛け、熱い声援を送っている。選手にとっては大きな力となっているはずである。

 これからは日本ラグビーにとって経験したことのない未知のゾーンに入る。対戦する南アフリカには、先月の壮行試合で大差で敗れている。世界ランキングでも7位の日本より格上ではあるが、日本には勢いがあり、ファンの後押しがある。期待は高まるばかりである。

 1次リーグの期間中、台風19号が日本列島を襲った。残念ながら中止となった試合もある。そんな中で、岩手県釜石市の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでの試合がなくなったカナダの選手たちが、被害にあった地域でボランティア活動に汗を流した。チームは1次リーグで敗退したが、その行動は称賛される。

 日本の選手からはスコットランド戦後に「被災した人たちに元気を取り戻してもらいたいという気持ちでプレーした」との声が聞かれた。スポーツの力、素晴らしさをより多くの人に伝えてほしい。