ひとり考:ここにいるよ(下)「壁」をつくらないで

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車椅子や人工呼吸器を使っている美奈さん。「そのことで『違う世界の人』だと、壁をつくらないでほしい」と母親の優子さんは語る
車椅子や人工呼吸器を使っている美奈さん。「そのことで『違う世界の人』だと、壁をつくらないでほしい」と母親の優子さんは語る

 ダウン症などの障害がある美奈さん(10)=県内、仮名=が人工呼吸器をつけることになったのは、4歳の時だ。食事中、食べ物を喉に詰まらせたことがきっかけだった。

 病院に運ばれた時には自力で呼吸できない状態で、人工呼吸器をつけるしかなかった。心臓は動いているのに意識が戻らない。医師は母親の優子さん(33)=仮名=に「脳死の可能性もある」と告げた。

 集中治療室(ICU)にいる間、優子さんは美奈さんが好きなバレーボールの試合の音声を毎日聞かせた。すると、美奈さんの目や手がかすかに動くこともあった。医師は「反射」だと言ったが、諦めたくなかった。

 音を聞かせ続けて2週間たったある日、美奈さんがしっかり目を開けた。「これは反射じゃないですよね」。優子さんが聞くと、医師は「こういうことってあるんだね」と驚いていた。

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