社説:外国人不就学問題 国主導の対策が急務だ

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 日本で暮らす外国籍の子どものうち、約16%に当たる1万9654人が小中学校に通っていない不就学の可能性があることが、文部科学省による初の調査で分かった。外国人労働者の受け入れが拡大する中、外国籍の子どもは確実に増える。不就学の子どもをなくすためにも、国は早急に就学環境を整える対策を講じる必要がある。

 調査は5~6月に全1741市区町村の教育委員会を通じて実施した。調査対象としたのは住民基本台帳に住民登録する外国籍の子ども12万4049人。このうち実際に不就学を確認したのは千人で、残りは調査時に自宅に不在だったり、学籍簿に名前が無かったりして、状況の把握すらできていないという。文科省はこれら全てを合計した人数について、不就学の可能性があると判断した。まずは実態把握を急がなくてはならない。

 日本は、外国籍の子どもが公立小中学校への就学を希望すれば、国際人権規約などを踏まえて無償で受け入れている。ただ日本人と違い就学義務はない。加えて働いたり、家できょうだいの面倒を見たりしている不就学の子どももいる。こうした子どもたちを孤立させてはならない。学ぶ権利は国籍に関係なく平等にある。

 調査からは自治体の対応や支援態勢にばらつきがあることも浮き彫りとなった。就学を促す取り組みを特に行っていない自治体は65%に上り、4割が就学案内を送っていなかった。送付したとしても日本語のみの記載といった案内も多くある。

 日本語指導が必要な子どもに特段の対策をしていない自治体は半数余りで、「人員や予算が不足」「どのような支援を行うべきか分からない」などを理由に挙げていた。せっかく就学しても日本語が分からなければ、学校に居づらくなり、退学となるケースも少なくない。将来の進学や就職などにも影響する。

 国は「通知などで対応を促してきた」としている。しかし自治体任せにするのではなく、自ら主導して、外国籍の子どもたちが安心して学校に通えるようにするべきである。

 積極的に家庭への訪問を繰り返している自治体や、民間と連携して日本語教育を推進している自治体もある。文科省はこうした先進事例を広く紹介することで、きめ細かな対応を促してほしい。

 外国人の不就学問題の解消は日本の子どもたちにとってもメリットがある。同じ教室で多様な言語や文化に触れながら学ぶことはコミュニケーション力を高め、寛容性や柔軟性を育むことにつながる。

 本県で不就学の可能性がある子どもは2人とされたが、県による再調査ではゼロだった。ただ本県でも在留外国人の増加に伴い、外国籍の子どもは増えている。今後を見据えて、今から準備を進めておくことが重要である。