社説:台風19号被災支援 生活再建に全力挙げよ

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 東北や関東など東日本を直撃した台風19号の被害の全容が次第に明らかになってきた。死者は80人を超えた。全半壊や床上・床下浸水など住宅被害は5万8千棟に達し、昨年7月の西日本豪雨を上回る規模となっている。被害範囲が広域に及ぶだけに、国が主導して復旧に全力を挙げる必要がある。

 特にいま力を入れなければならないのは、自宅が浸水や土砂崩れなどの被害に見舞われ、不自由な避難生活を余儀なくされている人たちへのサポートだ。被災から1週間以上たつが、避難所に身を寄せている人は依然として約4千人に上る。隅々まで復旧するには相当な時間がかかるとみられ、避難の長期化が懸念される。

 これから秋が深まるとともに、冷え込みは一層厳しくなる。毛布などの寝具やストーブ、ホットカーペットなどの暖房機器が不足して健康に支障を来すといったことがないよう、寒さ対策には十分に気を配ってもらいたい。

 被災者には高齢者が多く、特に朝晩の寒さはこたえるはずだ。運動不足に加え、精神的な落ち込みも懸念されるだけに、自治体は避難所に専門家を派遣して一人一人の健康管理を図るなど、きめ細かな支援に努めるべきである。

 生活再建への取り組みは迅速化が求められる。住宅被害の程度を示す罹災(りさい)証明書は、被災者が公的な支援金を受け取ったり、仮設住宅に入居したりする際に必要となるが、被害調査などを行う自治体職員の数が足りなければ手続きが容易に進まず、その分、生活再建は遅くなる。国は被災自治体に他の自治体からの人的支援が円滑に行われるよう、調整に努めたい。

 仮設住宅の確保も急がれる。近年は民間賃貸住宅の家賃を自治体で賄う「みなし仮設住宅」で対応する例が目立つ。比較的迅速に入居できる利点がある一方、地域住民がまとまって住むことが難しいため、住民間の交流が途絶えることが懸念材料となっている。住宅確保と併せ、孤立化を防ぐ手立ても考えるべきだろう。

 泥をかぶった家財道具や建材などの「災害ごみ」の処理も、滞りなく進めていかなければならない。災害ごみは自治体が指定する仮置き場に分別された後、焼却や埋め立て処分されるが、持ち込みが殺到し、すでに満杯になった所もある。放置すれば、悪臭などの問題も発生しかねない。周辺自治体などと協力しながら新たな場所を確保し、順次処理していくことが必要だ。

 環境省は台風19号で発生する災害ごみが西日本豪雨の約190万トンを上回る数百万トンに及ぶと予測している。11年の東日本大震災では、がれきの山から火災も発生した。そうした二次災害のリスクを抑制するためにも、処理のスピードアップが求められる。