北斗星(10月22日付)

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 県内の大学を出て東京の企業に就職した県出身者が最近、母校の恩師を訪ねた。勤務先と大学が共同研究を進められないか相談するためで、将来は本県にシンクタンクのような研究所を設立したいと夢を語った

▼研究の時期などが折り合わず今回は見送られたが、相談を受けた教授は「卒業生との縁は大切」と語る。県外に就職した教え子が事業を任せられる立場になれば、その企業と本県との間に新たな結び付きをつくりだし、経済効果を生む可能性があると実感したという

▼信用調査会社の役員が来県した折、県内企業が生き残りを図るために「県外在住の県出身者とのつながりを強くすることが大切ではないか」と話していた。先の教授の言葉とも共通する

▼役員によると、本県企業は仕入れ先や販売先が県内に限られている場合が多く、このままでは人口減少とともに商圏は小さくなるしかない。県外に取引先を広げなければならないが、そのためには何をするべきか考えさせられた

▼本県の人口は1950年代から一貫して、県外への転出者が県内への転入者を上回る「社会減」が続いている。近年では毎年4千人のマイナスとなっている。見方を変えれば、多様な職種で経験を積み、人脈を培った県出身者がそれだけ豊富にいるということでもある

▼冒頭の卒業生のように、自ら県外と本県を結び付けようと行動している人もいる。待っているだけでなく、地元から県出身者へのアプローチを強めていきたい。